ダイビングライセンス取得費用の全貌と相場を徹底解説!

ダイビングライセンス取得にかかる費用の全体像
「ダイビングを始めたい!でも、ネットを見ると、19,800円って広告もあれば、相場の10万円って記事もある、一体どちらが本当なの?」
これは、ダイバーへの第一歩を踏み出す誰もが最初に抱く、そして最も切実な疑問です。あまりに価格差が大きく、何が正解なのか迷ってしまうのは当然のことです。
結論から申し上げますと、初心者が最初に取得するライセンス(OWD)の費用の国内相場は、総額で6万円から7万円前後です。
しかし、この金額はあくまで目安に過ぎません。「表示価格」と「支払総額」の間には、業界特有の複雑な仕組みが存在するからです。安易に最安値の広告に飛びつき、「結局、相場より高くなってしまった」と後悔するケースは後を絶ちません。
この記事では、現役ダイバーの実体験と業界の裏側を踏まえ、費用の内訳から、格安広告のカラクリ、そして見落としがちな「隠れコスト」までを徹底解説します。価格だけでなく、一生モノの趣味としての「安全」と「満足」を手に入れるための、賢いライセンス取得ガイドとしてお役立てください。
ダイビングライセンスの種類とその費用
ダイビングのライセンス(正式にはCカード)には、指導団体(PADIなど)によって定められたランクがあります。自分の目的に合わせて、ステップアップしていく仕組みです。
ここでは主要なライセンスの種類と、それぞれの費用相場、特徴を整理しました。
| ライセンスの種類(ランク) | 最大水深 | 費用相場 | 特徴・できること |
|---|---|---|---|
| オープンウォーターダイバー (OWD) | 18m | 6万〜10万円 | 【初心者向け】 最も基本的な資格。まずはここからスタート。基礎知識とスキルを学びます。 |
| アドバンスド・オープンウォーター (AOW) | 30m | 8万〜15万円 | 【中級者向け】 中性浮力やディープダイビングなど、遊びの幅を広げるための実習中心のコース。 |
| スペシャリティコース | コースによる | 2万〜6万円 | 【特定のスキル】 ドライスーツの着用、水中写真、エンリッチドエアなど、特定のテーマを深く学びます。 |
1. オープンウォーターダイバー (OWD)
これからダイビングを始める人のための入門コースです。学科講習、プール(限定水域)実習、海洋実習を経て取得します。
この資格があれば、バディ(相棒)と一緒に水深18mまでの範囲で、自分たちで計画を立てて潜ることができます。
2. アドバンスド・オープンウォーター (AOW)
OWD取得後、すぐに受講する人も多いステップアップコースです。水深30mまで潜れるようになるため、沈没船や深い場所にいる魚を見に行けるようになります。5種類の異なるスタイルのダイビング(アドベンチャーダイブ)を経験し、より実践的なコンパスナビゲーションや中性浮力などのスキルを磨きます。
3. スペシャリティコース
「冬の海でも楽しめるようになりたい(ドライスーツ)」「中性浮力を極めたい」「水中写真をうまく撮りたい」など、特定の目的に特化したコースです。1日で完結するものも多く、興味に合わせて選択します。
【実録】機材購入とショップ選びのリアル
ショップに行くと、「自分の器材を持つとかっこいいですよ」と勧められることがあります。実際、自分の体に合った器材(特にフィンやマスク)は上達を早めます。揃えられるならフルセットを揃えることをお勧めします。 職人が使う道具と一緒で、自身の機材は使うほど馴染んできます。
無理に最初からフルセットを購入する必要はありませんが、軽機材(マスク、フィン、シュノーケル)だけでも、なるべく早めに揃えた方が良いです。
私の経験では、「大手で高い店=良い店」とは限りませんでした。 最初にOWDを取った大手ショップは高額でしたが、次にAOWを取った個人ショップは驚くほど安価でした。しかし、その安いショップのインストラクターの方が親身で指導が丁寧だったため、結果的に長く付き合うことになりました。価格だけでなく、「インストラクターとの相性」を見るのが、長く続けるコツです。
ダイビングライセンス取得のための基本的な流れ
ライセンス取得は、一般的に以下の3つのステップで進みます。3日〜4日(1泊2日で取ってしまうケースもある)の日程が必要ですが、連続した日程でなくても、週末を使って少しずつ進めることも可能です。
ステップ1:学科講習(知識開発)
まずは安全に潜るための理論を学びます。
- 内容: 水圧と体の関係、器材の選び方、トラブルへの対処法など。
- 方法: 最近はスマホやPCを使ったeラーニングが主流です。自宅で自分のペースで学習できるため、忙しい人でも始めやすくなっています。最後にショップでインストラクターと答え合わせやテストを行うのが一般的です。
ステップ2:プール実習(限定水域)
足のつくプールや、波のない浅い海(水域)で、実際に器材をつけて練習します。
- 内容: 呼吸の仕方、マスクに水が入った時の対処(マスククリア)、中性浮力(水中で浮きも沈みもしない状態)の練習など。
- ポイント: ここでしっかり基本を身につけることが、海での余裕につながります。「泳ぎが苦手」という人でも、インストラクターが手取り足取り教えてくれるので安心してください。
ステップ3:海洋実習
いよいよ実際の海で潜るステップです。
- 内容: プールで習ったスキルを海で実践します。通常、2日間で合計4回のダイビングを行います。
- 楽しみ: スキルの確認だけでなく、魚を見たり、水中の無重力感を楽しんだりする時間もあります。ここで「ダイビングって楽しい!」と実感する人がほとんどです。
すべての実習を修了し、申請を行うと、後日Cカード(認定証)が発行されます。最近はアプリで表示できるデジタルカードも増えています。
講習以外の「見えない出費」と楽しみ
講習費以外に想定しておきたいのが、現地での食事代や、旅行を兼ねている場合のお土産代です。また、泊まりがけの講習では、夜にインストラクターや他の受講生(ダイバー仲間)と食事に行くこともあります。
私の体験ですが、こうした「アフターダイブ」の交流は、仲間作りの絶好の機会でした。必須費用ではありませんが、少し予算に余裕を持たせておくと、ダイビングライフがより豊かになります。

ダイビングライセンス取得に必要な費用の内訳
さて、ここからは具体的なお金の話を深掘りしていきましょう。ダイビングの費用は、単純な「講習費」だけではありません。「19,800円」の広告を見て申し込んだのに、最終的に倍以上の金額になったというトラブルを避けるためにも、費用の「本当の構造」を理解する必要があります。
講習料金とその内容
まず理解しておきたいのは、ダイビングの費用は**「3階建ての構造」**になっているということです。提示されている金額が、この3つのうちどこまでを含んでいるかを確認することが、適正価格を見極める第一歩です。
- コア費用(指導・認定費用): 講習を受けるための基本料金。指導料や教材費、Cカード(ライセンス)の申請料などが含まれます。
- 必須付帯費用(変動費): 実習を行うために物理的に不可欠な費用。器材レンタル代や施設利用料などがこれにあたります。
- 設備投資費用(長期投資): ライセンス取得後も続けるための、自分の器材購入費用です。
特に注意が必要なのは、2番目の「必須付帯費用」です。一部のショップでは、集客のために「指導料(コア費用)」だけを安く見せ、レンタル代などを別枠にしているケースがあります。
実際に、過去には「タンクレンタル込み」と表示しながら、ウェットスーツ代として別途2万円が必要だったり、タンク代が追加請求されたりして、消費者庁から景品表示法違反(有利誤認)の注意喚起が出された事例もあります。
「安すぎる」ことへの不安と適正価格
安ければ良いというわけではありません。実際に私がライセンスを取得した際のエピソードですが、1軒目(OW取得時)が大手特有の強気な料金設定だったのに対し、2軒目(アドバンス取得時)の提示額があまりに安かったため、「本当にこの金額で取れるのか?」「何か裏があるのでは?」と逆に不安を感じた記憶があります。
適正価格を知らないと、高すぎて損をするだけでなく、安すぎて疑心暗鬼になることもあります。広告の安さに飛びつくのではなく、**「トータルでいくらになるのか」**を必ず見積もりで確認しましょう。
海洋実習費用の詳細
学科やプールでの講習を終えた後、実際の海で行うのが「海洋実習」です。この費用は、講習費(指導料)に含まれている場合と、現地で別途支払いが必要な場合(実費)に分かれることが多いため注意が必要です。
一般的な海洋実習では、以下の項目が費用として発生します。
- 器材レンタル費用: 実習に必要なスーツや重器材の使用料。
- 施設利用料: 実習地のシャワーや更衣室などの使用料。
- 空気タンク使用料: 1本目は込みでも、2本目以降に追加料金(1本4,000円程度など)がかかる場合があります。
交通費や宿泊費も見落とさない
都市型のショップで受講する場合、実習地(海)までの交通費や、日程によっては宿泊費が別途必要になることが一般的です。
私の場合、事前にこれらの相場を調べて予算を組んでいたため、現地での想定外の出費はありませんでした。しかし、クーポンサイトなどで「格安」を謳っている場合、これらの移動費や追加タンク代が含まれておらず、現地で次々と追加請求されるトラブルも報告されています。
「実習費」という言葉が、単なる指導代を指しているのか、施設料やタンク代などの実費までカバーしているのか、内訳を明確にしておくことがトラブル回避の鍵です。
教材費や器材レンタル代について
最後に、講習の質と快適さを左右する「教材」と「器材」について解説します。
教材費については、近年eラーニングが普及しており、スマホを使って通勤・通学のスキマ時間で学習できるスタイルが定着しています。多くのショップではコース費用に含まれていますが、プロコースなどでは毎年教材代が変わるため、別途購入が必要になるケースもあります。
器材レンタル代は、初期費用を抑えたい人にとってありがたいシステムです。しかし、ここにも落とし穴があります。広告価格には「器材レンタル込」と書かれていても、実際にはすべてを網羅しておらず、一部の器材(ウェットスーツや軽器材など)で別途料金が発生するリスクがあるためです。
現場で起こる「器材購入」という現実
ダイビングを始める多くの方はレンタルからスタートします。私自身も最初は「レンタルで十分」と考えていました。
しかし、実際に講習を受ける中で、ショップにディスプレイされている器材を背負わせてもらったり装着させてもらったりする機会がありました。自分の体にフィットする器材を試すうちに、どうしてもテンションが上がってしまい、結果的に**「マイ器材」を購入することになりました**。
これは計画的な判断というより、現場での体験から生まれた自然な流れでした。実際、自分の器材を持つことには以下のようなメリットがあります。
- 上達のスピード: 使い慣れた自分の器材を使うことで、スキルアップが圧倒的に早くなり、トラブルへの対応力も上がります。
- 長期的なコスパ: 継続的にダイビングをする場合、毎回レンタル代を払うよりも、結果的に購入した方が安くなる分岐点が存在します。
- 快適性: 新品の自分に合った器材でストレスなく講習を受けられます。
フルセット揃えると40〜60万円ほどの初期投資になります。最初から購入する予定がなくても、現場で実際に器材に触れることで購買意欲が高まるケースは少なくありません。こうした「想定外の出費」の可能性も念頭に置いておくと良いでしょう。
ダイビングライセンス取得費用の相場
費用の内訳が見えてきたところで、次は「市場価格」を見ていきましょう。ライセンス(Cカード)取得にかかる費用は、単純な講習費だけでなく、**「どこで取るか」や「どのショップを選ぶか」**によって大きく変動します。
2025年の最新トレンドや一般的な相場観を踏まえ、エリア別の費用感とショップによる価格差のカラクリについて解説します。
地域別の費用相場
前述の通り、ダイビングライセンス(OWD)を取得するための国内標準相場は、講習費・実習費・器材レンタル・申請料などを含めた総額で、**60,000円〜90,000円(税込)**が一般的です。
しかし、これはあくまで国内の平均的な数字です。実際には、都市型ショップに通うのか、リゾート地へ遠征するのかで、トータルの出費は変わります。
国内エリアと海外リゾートの相場一覧
費用を比較する際は、講習費単体ではなく、現地までの交通費や宿泊費を含めた**「総滞在費用」**で計算することが重要です。
以下は、人気エリアごとの費用目安です(※為替や時期により変動します)。
| エリア | 講習費目安(円換算) | 特徴と費用のポイント |
|---|---|---|
| 関東・伊豆 | 6万〜9万円 | 東京都内からアクセスが良く、週末に通いやすい。別途交通費が必要。 |
| 沖縄(離島含む) | 5.4万円〜 | 講習費は安めだが、航空券と宿泊費が別途かかる。旅行とセットならお得。 |
| タイ(タオ島) | 2.8万〜3.3万円 | 講習費の絶対額が安い。物価が安く滞在費を抑えられるが、円安の影響に注意。 |
| セブ島(フィリピン) | 3.8万〜6.5万円 | リゾート気分を味わいつつ、比較的安価に取得可能。 |
| グアム・サイパン | 3.8万〜6.7万円 | 日本から近く短期間で取得可能だが、米ドル建てのため為替リスクがある。 |
「都市型」と「現地型」の落とし穴
ここで注意したいのが、東京などの都市にあるショップで申し込む場合です。一見すると通勤圏内で便利に感じますが、海洋実習を行うためには、結局海(伊豆など)まで移動する必要があります。
先輩ダイバーの体験談:都市型とリゾート型のコスパ
「私は最初、東京の都市型ショップを利用しましたが、海洋実習は伊豆へ行くことになりました。どうせ現地に行くなら、最初から現地ショップを手配した方が、旅行としての満足度もコスパも高い場合があります」
もしあなたが「旅行気分も楽しみたい」と考えているなら、講習費だけでなく移動時間や環境も含めたトータルコストで検討することをおすすめします。
ショップによる価格差の理由
ネットで検索していると、**「19,800円」という格安広告と、「80,000円」**という通常価格のショップが混在しており、なぜこれほど価格が違うのか疑問に思うことでしょう。この価格差には明確な理由と内訳があります。
1. 「別途料金」のマジック
最も大きな要因は、先ほど「内訳」の章でも触れた通り、表示価格に**「器材レンタル代」が含まれているかどうか**です。
極端に安いプラン(例:19,800円など)の多くは、指導料のみの価格であり、必須となる器材レンタル代や施設使用料が別途請求されるケースがほとんどです。
- 格安店(広告価格): 入口は安いが、レンタル代(約2万円〜)や申請料が後から加算され、最終的には相場通り(6万〜9万円)になる。
- 適正価格店: 最初からレンタル代やカード申請料が含まれており、追加費用の心配が少ない。
2. サービスの質と運営スタイルの違い
価格の差は、単なる「モノ」の値段だけでなく、「サービス」や「環境」の違いでもあります。
先輩ダイバーの体験談:価格差は「人」に出る
「大手都市型ショップはシステムが確立されていて便利ですが、少しビジネス色が強い印象を受けました。一方で、伊豆の地域密着型ショップを利用した際は、スタッフが本当に海を愛しているのが伝わってきて、非常にアットホームでした。
価格の差は、単なる設備代だけでなく、『システム維持費』にお金を払うか、『人との深い関わり』にお金を払うか、という違いにも表れると感じています」
素晴らしいダイビングライフをスタートさせるためにも、金額の安さだけでなく、「自分がどのような環境で、誰から習いたいか」という視点を大切にしてショップを選んでみてください。
ダイビングライセンス取得にかかる隠れた費用
ライセンス取得の際、ついつい「コース料金(講習費)」だけに目が行きがちですが、実はそれ以外にも発生する費用がいくつか存在します。これらは見積もりに含まれていないことが多く、後から「予算オーバー!」と慌てないためにも、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
宿泊費や食事代の考慮
まず見落としがちなのが、現地での**「宿泊費」と「食事代」**です。これらは基本的に、ショップが提示するコース料金には含まれていない「ロジスティクス費用」として考えましょう。
自分のスタイルで選べる「変動費」と捉えよう
この費用は「隠れたコスト」として恐れる必要はありません。逆に言えば、自分の予算に合わせて自由に調整できる部分でもあります。
例えば、沖縄などの離島で講習を受ける場合、宿泊費や食事代が別途発生しますが、ここでの選択が総額を大きく左右します。
- リゾート重視: ホテルでのんびり過ごし、豪華な食事を楽しむ。
- コスパ重視: ゲストハウスを利用し、地元の居酒屋で食事を済ませる。
実際に、私がライセンスを取得した際は「寝られればどこでもいい」と割り切り、ゲストハウスのような安い宿を利用しました。浮いたお金で友人と安い居酒屋に行き、その日のダイビングについて語り合う時間は、豪華な旅行とはまた違った「合宿」のような楽しさがあり、今でも良い思い出です。
このように、高級リゾートにこだわらなければ、費用を抑えつつ仲間との絆を深めるスタイルも十分に可能です。
「パッケージツアー」でも油断は禁物
注意が必要なのは、「宿泊付きパッケージ」や「ツアー形式」の場合です。宿泊代が含まれていても、食事代まではカバーされていないケースが多々あります。 「朝食やお弁当はついているけれど、夕食は別」というパターンも多いため、現地の物価を調べた上で、食事代の予算を別枠で確保しておくと安心です。
追加の器材購入やメンテナンス費用
次に考慮すべきなのが、器材に関する費用です。ここは「安全性・快適性」と「予算」のバランスが非常に重要になるポイントです。
「軽器材」は自分に合うものを
講習中、重器材(BCDやレギュレーターなど)はレンタルで済ませることが一般的ですが、マスクやスノーケル、フィンといった**「軽器材」については購入を推奨される**ことがよくあります。
これには明確な理由があります。
- 衛生面: 口や肌に直接触れるため、自分専用の方が安心です。
- 快適性・スキル向上: 自分の顔や脚力にフィットした道具を使うことで、水中のストレスが減り、上達も早くなります。
特にウェットスーツに関しては、既製品ではなく**「身体にぴったりフィットするカスタムオーダー」**を強く推奨するショップも少なくありません。これは単なるセールスではなく、水中で体温を維持し、命を守るための安全対策という側面があるからです。
「楽しみ」への投資と「維持費」の覚悟
器材購入は、単にお金がかかるだけではありません。私の経験上、水中カメラやライト、あるいはバブルリング砲のような遊び道具を少しずつ買い揃えていくプロセスは、ダイビングの楽しみを大きく広げてくれました。
一方で、購入後には必ず**「メンテナンス費用」**というランニングコストが発生します。
- 定期的なオーバーホール: 重器材は命に関わるため必須です。
- 修理・買い替え: ドライスーツやグローブの破れなどは、続けていればどうしても発生します。
安価な重器材を購入した場合、劣化が早く、結果的に修理代が高くつくケースもあります。初期費用を抑えることも大切ですが、長期的な視点で「メンテナンス代が安く済む、性能の良い器材」を選ぶのも賢い選択と言えます。
⚠️ 購入時の注意点
器材は高額になりがちですが、通信販売などで購入した場合、原則としてクーリング・オフ(無条件解除)が適用されないことがあります。見た目が似ていても、スノーケリング用とスキューバ用では性能が全く異なるため、プロのアドバイスを聞き、納得した上で購入するようにしましょう。
ダイビングライセンス取得を成功させるためのポイント
ここまで費用の側面を見てきましたが、お金以上に大切なのが「ショップ選び」です。ライセンス取得(Cカード取得)は、ダイバーとしての第一歩。ショップ選びや事前の確認を怠ると、思わぬトラブルに巻き込まれたり、講習そのものが苦痛になってしまったりすることもあります。
失敗しないための「ショップの選び方」と「事前に確認すべきこと」を、客観的なデータと実際の体験談を交えて解説します。
信頼できるショップの選び方
数あるダイビングショップの中から、自分に合った「信頼できる一軒」を見つけるのは簡単ではありません。以下の3つの視点を軸に、慎重に選びましょう。
1. レビューの確認と「現地での相性」
まずは、インターネット上のレビューをチェックし、ショップのサービスやインストラクターの質について、他の利用者の評価を参考にすることが基本です。
しかし、ネットの情報や電話対応だけで全てを判断するのは早計かもしれません。一般的には丁寧な対応が好まれますが、電話ではそっけなく感じても、実際には裏表のない信頼できるインストラクターであるケースもあります。
体験談:電話の「冷たさ」は「さっぱりした性格」の証かも?
実際に私が伊豆のショップを選んだ際、最初の電話対応がそっけなく「安かろう悪かろうでは?」と不安を感じました。しかし、実際に現地に行ってみると、その担当者は誰に対しても平等でネチネチしておらず、電話で感じた冷たさは「さっぱりした性格」という美点でした。
通信手段(AIやメール含む)だけで判断せず、説明会や体験ダイビングなどで**「一度足を運んで空気感を感じる」**ことが、相性を見極める最良の方法です。
2. 資格と運営実態の確認(コンプライアンス)
ショップが適切な資格(指導団体への加盟や許認可)を持っているかを確認し、信頼性を確保することも大切です。特にWebサイトから申し込む場合は、以下の「運営実態」をチェックしてください。
- 特定商取引法に基づく表記の確認: 運営責任者名、所在地、連絡先が必ず明示されているかを確認しましょう。
- 住所の検証: 記載されている住所を地図検索し、実在する店舗かどうか(虚偽でないか)を検証することが推奨されます。
- Pマーク等の有無: 個人情報保護体制の信頼性を示す「Pマーク」などを取得しているショップは、セキュリティ意識が高いと言えます。
3. 料金の透明性と「No」と言える環境
料金の透明性を重視し、教材費や申請料など「隠れた費用」がないかを事前に確認することで、安心して選ぶことができます。
また、信頼できるショップの条件として**「安全のために中止する勇気」を肯定してくれるか**も重要です。
体験談:勇気ある撤退を褒めてくれるか
私は講習中、強い不安感から潜降直前に「潜りたくない」と中止を申し出たことがあります。(私とバディの2名のみ参加の講習時)一般的にはスケジュールが狂う迷惑な行為と考えられますが、インストラクターはそれを責めず、「自分で辞める決断ができたこと(ナイスジャッジ)」として褒めてくれました。その判断を肯定して頂けたおかげで、それ以降、1000本以上潜っても、潜れないという経験は1度もありませんでした。無理して潜らなくても良いという安心感が、気持ちを落ち着かせてくれたのだと思います。
事前に確認しておくべきこと
申し込みを済ませた後も、当日までに確認しておくべき事項があります。準備不足はトラブルの元となるため、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. コース内容と「先回りした説明」の有無
まず、コース内容をしっかり理解し、学習内容や実技の進行スケジュールを把握しておくことが必要です。
多くのショップは、事前にきちんと説明をしてくれるはずです。
- 良いショップの特徴: 過去のデータから「客が困るポイント」を熟知しており、リスクや料金体系を先回りして説明してくれます。
- 注意すべきショップ: こちらから質問しないと詳細を教えてくれない場合、当日になって想定外のトラブルが起きる可能性があります。
2. 必要な持ち物の準備
最後に、必要な持ち物を事前に揃えておきましょう。 特に視力が悪い場合の度付きマスクや、酔い止め薬、申請に必要な写真(サイズ確認)などは忘れがちです。
ダイビングは自然相手のスポーツであり、契約行為でもあります。「なんとかなる」と思わず、自分の身と権利を守るために、事前の確認を徹底しましょう。

ライセンスのアップグレード・更新費用の全体像と将来の計画
無事にライセンス(OWD)を取得した後も、ダイビングライフは続きます。ダイビングを長く安全に楽しむためには、その後の「維持費用」や、スキルアップのための「アップグレード費用」についても理解しておくことが大切です。
最後に、意外と知られていないライセンスの有効期限の仕組みや、ステップアップにかかる費用の全体像、そして無駄のない計画の立て方について解説します。
ライセンスに「有効期限」はある?更新費用の真実
まず、ダイバーに認定された証であるCカード(ライセンス)の維持についてです。
結論から言うと、趣味として楽しむレクリエーショナル・レベルのCカード(OWDやAOWなど)には、有効期限も定期的な更新費用もありません。一度取得すれば、基本的には一生有効な資格となります。
ただし、以下の2点には注意が必要です。
-
プロフェッショナル資格の場合
ダイブマスターやインストラクターといった「プロ資格」を保持する場合は、知識レベルの維持や情報のアップデートのため、毎年の更新手続きと費用が必要になります。
-
ブランクがある場合の「再認証」
有効期限はありませんが、長期間ダイビングから離れている(ブランクダイバー)場合、安全のために「リフレッシュコース」などの**再認証(Re-certification)**を推奨されることがあります。これは義務ではありませんが、自身の安全を守るための実質的な維持コストと言えるでしょう。
上位ランクへのステップアップ:費用の累積構造を知る
「もっと深く潜りたい」「もっと安全に楽しみたい」と思った時、次のステップへ進むためのアップグレード費用が発生します。
ここで重要なのは、**「表示されているコース料金だけが総額ではない」**という点です。
1. 必須条件による「見えない費用」
上位資格を目指す際、その受講条件として「特定のコース修了」が必須となる場合があります。これを見落とすと予算オーバーになりかねません。
- レスキュー・ダイバーの例: コース自体の費用(約7万円前後)に加え、前提条件となる**「エマージェンシー・ファースト・レスポンス(EFR)」**等の救急法コースの修了が必要です。このEFR講習費(約1.5〜2万円程度)も予算に組み込む必要があります。
2. 間接費用の積み重ね
コース料金以外にも、以下の費用が「間接費用」として発生します。
- 器材レンタル費: フルレンタルの場合、1日あたり約10,000円かかることもあります。
- 交通費・宿泊費: 海洋実習地までの移動費や宿泊費は、コース料金に含まれていないことが一般的です。
先輩ダイバーの体験談
私自身ステップアップの際、**「ショップによって費用が結構違う」**ことには驚きました。
総額を抑えるには、レンタル代や申請料が含まれているかなど、ショップごとの内訳をしっかり比較することが重要です。
「いつ取るべき?」無駄のないキャリア計画の立て方
市場分析によると、より高度なスキルや安全性を求めてアドバンスドコースなどの需要は増加しています。しかし、焦って資格を集める必要はありません。
将来の計画を立てる際は、**「自分がどんなダイビングをしたいか(目的)」**を基準に投資判断を行いましょう。
- 水深を広げたい: アドバンスド(AOW)へ進み、30mまでの世界を楽しむ。
- 安全性を高めたい: バディや自分のトラブルに対処できるよう、レスキュー・ダイバーを目指す。
- のんびり潜りたい: 無理にランクを上げず、OWDのまま何百本も経験を積むのも一つの正解です。
最近では、VR(仮想現実)を活用したトレーニングや、スマホアプリ(MySSIなど)を使ったデジタル教材の普及により、学習効率が上がり、無駄なコストを抑える環境も整いつつあります。
ダイビングは長く続けられる趣味です。周りに流されず、ご自身のペースと目的に合わせて、必要な時期に必要な資格へ投資することをおすすめします。
まとめ
ダイビングライセンスの取得費用は、初心者のうちは「19,800円」の広告に目を奪われがちですが、最終的には6万円〜10万円程度の予算を見ておくのが安全です。
最後に、この記事の要点を振り返りましょう。
- 広告価格の裏側を知る: 「講習費」だけでなく、「レンタル代」「申請料」「施設使用料」が含まれているかを必ずチェックする。
- トータルコストで比較する: 都市型ショップと現地型ショップでは、交通費や宿泊費を含めた総額でコスパが変わる。
- 隠れた費用を想定する: 現地での食事代や、自分の軽器材(マスクなど)の購入予算も確保しておく。
- ショップ選びは「人」で決まる: 価格も大切だが、信頼できるインストラクターとの出会いが、長く安全に続けるための最大の財産になる。

Last modified: 26 Nov 2025


