2025年ダイビングカメラの選び方とおすすめ6選

【2025年版】ダイビングに最適なカメラの選び方|失敗しない機材選定と撮影のコツを完全解説
ダイビングにおけるカメラ選びは、陸上とは全く異なる「水中特有の事情」を考慮する必要があります。 単に「画質が良いから」という理由だけで選ぶと、水没のリスクや、色が青かぶりした写真ばかりになってしまうことも。
この記事では、ダイビング経験豊富な筆者の実体験(失敗談含む)と事実情報に基づき、初心者が最初に手に取るべき一台から、プロ級の機材選び、そしてメンテナンス方法までを網羅しました。あなたのダイビングライフを変える「最高の相棒」を見つけるための完全ガイドです。
ダイビングに最適なカメラの選び方
まず、ダイビング用カメラを選ぶ際の「基準」を明確にしましょう。陸上のカメラとは異なり、水中では考慮すべきパラメーターが劇的に増えます。
水中撮影に必要な基本機能
水中撮影を成功させるために最も重要なのは、カメラ単体の性能ではなく、「ハウジング(防水ケース)」や「ライト」を含めたシステム全体で考えることです。 特に以下の3つの機能は、ダイビングの質を左右する必須要素と言えます。
1. 「防水機能」と「耐圧深度」の落とし穴
まず注意したいのが、カメラ本体の防水性能です。市販の防水カメラの多くは水深14m〜20m対応ですが、これは海水浴やシュノーケリング向けです。**一般的なレクリエーショナルダイビング(最大水深40m)では、単体では耐えられないことが多いです。**私は市販のカメラを持って潜り、何度も水没させました。
- 現場: 本格的なダイビングには、メーカー純正や専門メーカー(IkeliteやNauticamなど)が販売する、**水深40m〜60m(200ft)の耐圧深度を持つ「専用ハウジング」**が必須です。
- ポイント: カメラ本体が防水であっても、「万が一ハウジングが水没した際の保険」程度に考え、必ずハウジングに入れましょう。
2. 「水中モード(赤み補正)」と「手ブレ補正」
水中では、深度が増すにつれて「赤色」が吸収され、写真全体が青緑色になってしまいます(アビスカラー現象)。本来の色を取り戻すには外部ストロボが不可欠ですが、コストも技術も必要です。
- 体験談(Experience):
そこで役立つのが、カメラ内蔵の**「水中モード(赤み補正)」**です。
「これがあるだけで全然違います。編集ソフトなしでも、撮ったその場で色が鮮やかに蘇るので本当に感動しました。」(ダイバー談)
また、水流に流されやすい水中では**「手ブレ補正」**も強力な味方です。「後で見返した時に写真がブレていると、そのガッカリ感はかなり痛い」という経験則からも、補正機能が強力なモデルを選ぶことを強くお勧めします。
3. 操作性と拡張性
水中では指先がふやけたり、グローブを着用したりするため、陸上のような細かい操作は困難です。直感的に操作できるボタン配置や、将来的にストロボを追加できる拡張性(ホットシューの有無など)も確認しておきましょう。
撮影スタイルに応じたカメラの選び方
「どんな写真を撮りたいか」によって、選ぶべきカメラは明確に分かれます。以下に代表的なスタイルと適した機材を整理しました。
スタイル別・機材選定マトリクス
| カテゴリー | おすすめのスタイル | 特徴 |
|---|---|---|
| アクションカメラ (GoPro等) | 動画・ワイド撮影 SNSへの投稿 | 軽量コンパクト。海全体の雰囲気や動きを撮るのに最適。 |
| コンパクトデジカメ (TGシリーズ等) | マクロ撮影・記録 小さな生物 | 顕微鏡モードなどが充実。ウミウシや小魚の撮影に強み。 |
| ミラーレス/一眼 | 作品撮り・専門撮影 本格的な写真 | 初期投資は高額だが、画質と表現力は圧倒的。 |
1. 「動画とワイド」ならアクションカメラ
最近のトレンドは、GoProなどのアクションカメラです。
- 体験談(Experience):
「もともとはコンデジでマクロ(小さな生物)を撮っていましたが、動きのある動画を撮りたくなりアクションカメラに切り替えました。広角が得意なので、海全体の雰囲気やダイナミックな動きを記録するならこちらが正解だと実感しました。」
2. 「生物をじっくり」ならコンパクトデジカメ
一方で、小さな生物に寄って撮影したい場合は、コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)が有利です。特に、ハウジング内でズーム操作ができたり、マクロ撮影に特化したモードを持つ機種は、ダイバーの間で根強い人気があります。
3. 「一眼レフ」は必要か?
「いつかは一眼レフ」と憧れる方も多いですが、システムが巨大化し、運用には高度なスキルが求められます。
- アドバイス:
「自分はコンデジやGoProで『十分』だと感じています。無理に大きな機材を追わずとも、自分の楽しみの範囲で満足できる機材を選ぶのが一番です。」(経験者談)
結論として、まずは「自分が撮りたいのは、雄大な海の景色(ワイド)なのか、小さな生物(マクロ)なのか」を決めることから始めましょう。

基準が分かったところで、次は「今買うならこれ!」と言える具体的なモデルを見ていきましょう。
2025年おすすめのダイビングカメラ6選
ダイビング用のカメラ市場は、技術の進化により大きく3つのカテゴリーに分化しています。ここでは、2025年現在、特におすすめできるモデルをカテゴリ別に厳選してご紹介します。
コンパクトデジタルカメラ
「コンデジ」と呼ばれるこのカテゴリーは、**手軽さと画質のバランスが取れた「優等生」**です。
1. エントリーからプロまで愛される「TGシリーズ」
この分野で不動の人気を誇るのが、OM System Tough TG-7です。 最大の魅力は、ハウジングなしでも水深15mまで潜れるタフさと、**「顕微鏡モード」**と呼ばれる圧倒的なマクロ撮影能力です。
- 体験談(Experience):
「アクションカメラの手軽さも魅力ですが、やっぱりTGシリーズのマクロ機能は別格です。海の中の小さな生物やサンゴの質感を、肉眼で見る以上に美しく切り取れるのは、このカメラだけの特権だと痛感しました。」
また、**「RCモード」**という独自のフラッシュ制御機能があり、初心者でも正確な光量調整(TTL)が簡単にできるため、「失敗しない最初の一台」として最適です。
2. 画質を追求する「1.0インチセンサー機」
より高画質を求めるなら、Sony RX100 VIIやCanon G7X Mark IIIといった「高級コンデジ」が選択肢に入ります。 これらは一般的なコンデジよりも大型の1.0インチセンサーを搭載しており、光の少ない水中でもノイズの少ないクリアな写真が撮れます。ただし、これらは「防水カメラ」ではないため、水深に関わらず専用ハウジングが必須となる点には注意が必要です。
アクションカメラ
動画派のダイバーにとって、現在最もホットな選択肢がアクションカメラです。
1. 動画性能の頂点「GoPro」と「DJI」
代表格であるGoPro HERO13 BlackやDJI Osmo Action 5 Proは、5.3Kや4Kといった高解像度に加え、「HyperSmooth」や「HorizonSteady」といった強力な手ブレ補正機能を持っています。激しい潮流の中でも、滑らかな映像を残せるのが強みです。
- 注意点(Fact): これらは動画撮影に特化しているため、外部ストロボとの同調機能がありません。本格的な水中写真(静止画)を撮りたい場合、ストロボが使えず色やコントラストが不足するため、不向きであると言えます。
2. 失敗しないための「モニター」の重要性
アクションカメラは小型ゆえに画面が見づらいことがありますが、撮影におけるモニターの有無は死活問題です。
- 体験談(Experience):
「今撮っている映像が見られないタイプは大変です。思っていた構図と全然違うことも多いので、**『モニターを見ながら撮影できる機能(またはデュアルスクリーン)』**は、失敗を防ぐために非常に重要だと感じました。」
360度カメラ
「カメラをどこに向けるか考える必要がない」という、全く新しい撮影スタイルを提案するのが360度カメラです。
1. 水中撮影のゲームチェンジャー「Insta360」
Insta360 X4やX5は、2つのレンズで全方位を記録し、撮影後にアプリで好きなアングルを切り出す(リフレーミング)ことができます。 これにより、「あそこで魚が通ったのに撮り逃した!」という失敗が原理的に消滅します。ただし、水中では光の屈折により映像がうまくつながらないため、「見えないダイブケース(専用ハウジング)」が絶対に必要です。
2. 「記録」ではなく「体験」を残す
360度カメラの真骨頂は、被写体だけでなく、その場の空気感まるごと保存できる点にあります。
- 体験談(Experience):
「自分たちが潜っているチームの雰囲気やリゾート感、みんなが一つになっている**『一体感』**のある映像が撮れるのが最大の魅力です。普通のカメラでは絶対に撮れない、没入感のある旅の記録になります。」

欲しいカメラが決まっても、気になるのはやはり予算です。水中撮影はお金がかかるイメージがありますが、賢く選べばコストは抑えられます。
ダイビングカメラの価格帯と選び方
予算を考える際は、カメラ本体だけでなくシステム全体(ハウジングやライト)の総額で考える視点が不可欠です。ここでは、価格帯別の特徴と、賢いコスト配分について解説します。
価格帯別の特徴と選び方
水中撮影システムは、大きく分けて3つの価格帯に分類できます。
1. エントリーレベル(〜15万円)
アクションカメラ(GoPro等)や、コンパクトカメラ単体での構成です。シュノーケリングや浅瀬での記録に最適ですが、ダイビング(最大40m)で使うには別途専用ハウジングの予算を見る必要があります。
2. ミッドレンジ(25〜50万円)
TG-7などの高性能コンデジに加え、外部ストロボや頑丈なアーム類を揃える構成です。 多くのダイバーにとっての「正解」はこのゾーンです。本体の予算を抑え、浮いたお金をストロボ(約5万円〜)やグリップ(約1.6万円〜)に回すことで、色彩豊かなプロ級の写真を撮ることが可能になります。
3. プロフェッショナル(70〜150万円以上)
フルサイズミラーレスに、アルミ削り出しハウジングや複数のレンズポートを組み合わせた構成です。圧倒的な画質と拡張性を持ちますが、システムが巨大化します。
【重要】価格差は「画質」ではなく「安心」に出る
なぜ、同じカメラを入れるハウジングでも、数千円のものから数十万円のものまであるのでしょうか?
- 体験談(Experience):
「実際に使い比べて痛感したのは、値段の差は画質云々よりも『耐久性と安心感』に出るということです。安い機材はすぐに壊れたり、水没リスクが高い。しっかりした価格帯のハウジング(ハイエンド)に変えると、そういったトラブルへの不安が消え、撮影に集中できるようになります。」
コストパフォーマンスを考慮した選択
「できるだけ安く、良い写真を撮りたい」というのは全ダイバーの願いですが、コストを削る場所を間違えると致命的な失敗(水没)を招きます。
1. 最強のコスパセットは「2台持ち」
それぞれの得意分野を活かした「使い分け」が、結果的に最もコスパが良い場合があります。
- 体験談(Experience):
「個人的に最強の組み合わせだと思うのが、『GoPro(広角・動画)』と『Toughシリーズ(TGなどでのマクロ)』の2台持ちです。 特に、GoProに『RGBlue』などの良質なライトを組み合わせるスタイルがお気に入り。これならシステム全体をコンパクトに抑えつつ、どんなシーンもカバーでき、お値段以上の価値があります。」
2. 「ハウジング」だけはケチってはいけない
コストパフォーマンスを追求する際、絶対に削ってはいけないのがハウジング(防水ケース)の予算です。
- 現場: カメラ本体の価格を抑えてでも、ハウジングはメーカー純正や、AOIのような専門メーカー製(オリンパスのOEMを長年担当)を選ぶべきです。
- 体験談(Experience):
「安いサードパーティ製や汎用品を使っていて、カメラを水没させてしまったダイバーを実際に見てきました。**本体は中古や型落ちで節約しても良いですが、ハウジングだけは妥協してはいけません。**数万円をケチった結果、カメラごと全損しては元も子もありませんから。」

ハウジングの重要性に触れたところで、次は機材の命綱である「防水性能」について、正しい知識を身につけておきましょう。
水中カメラの防水性能について
水中カメラにとって、防水性能はまさに「生命線」です。カタログスペックを過信したり、メンテナンスを怠ったりすると、高価な機材が一瞬で水没してしまうリスクがあります。
防水性能の基準と確認方法
まず、カメラのスペック表に記載されている「IP規格」を確認しましょう。
1. 「IPX8」が最低ライン
防水性能は「IPX8」などの等級で示されます。ダイビングで使用するには、一時的な水没ではなく**「継続的な潜水に対する保護」を示すIPX8が必須**です。ただし、IPX8のテスト条件はメーカーごとに異なるため、具体的な水深と時間の仕様を確認する必要があります。
2. 防水の要「Oリング」の誤解
ハウジングの防水は、主に「Oリング」というゴムパッキンによって保たれています。ここで多くの人が陥りやすい致命的な誤解があります。
- 誤解(Fact): 「グリスをたっぷり塗れば、水が入らない」と思っていませんか?
- 真実(Fact): シリコングリスには水を防ぐ能力はありません。 グリスの役割はあくまでOリングの「潤滑」と「保護」です。逆にグリスを塗りすぎると、ゴミや砂を吸着してしまい、そこから水が侵入する(浸水)原因になります。
3. プロが教える「水没させない」ルーティン
スペック上の防水性能を維持できるかどうかは、メンテナンス次第です。
- 体験談(Experience):
「私はこれまで一度も水没事故を起こしたことがありませんが、それは『潜る前のチェック』以上に、『終わった後のメンテナンス』を重視しているからです。 しっかりと塩抜きをし、保管時にOリングにグリスを薄く塗って保護する。防水性能は『買う時』だけでなく、『維持する時』に決まると考えています。」
水深に応じたカメラの選択
「水深何メートルまで潜るか」によって、選ぶべきカメラの装備は劇的に変わります。
1. 「裸のカメラ」vs「ハウジング」
市場には「水深15m防水」を謳うタフなカメラ(TG-7やGoProなど)が存在しますが、これをそのままダイビングで使うべきでしょうか?
- 体験談(Experience):
「私の場合、ダイビングで潜るなら絶対にハウジングを使います。カメラ単体の防水機能に頼るのは、子供と川遊びをする時くらいです。 『15mまでなら裸でOK』というギリギリの運用はせず、必ず耐圧ハウジングに入れて安全マージンを確保します。」
2. ダイビング深度(〜40m)の現実
レクリエーショナルダイビングの最大水深である40m付近では、カメラには強烈な水圧がかかります。
- 現場: この深度に対応するため、ダイビング用のハウジングは**「圧力封じ込め(Pressure Containment)」**という構造を採用しています。これは、頑丈な壁で水圧をブロックし、内部を1気圧のまま保つ仕組みです。
結論として、カメラ本体が防水であっても、それは「万が一ハウジングが浸水した時の保険」と捉え、必ず専用ハウジングに入れて運用しましょう。

機材の守り方が分かったら、いよいよ実践編です。「良い写真」を撮るための具体的なテクニックを解説します。
水中撮影のテクニックとコツ
良い機材を揃えても、陸上と同じ感覚でシャッターを切るだけでは、水中写真はうまくいきません。
光の使い方とストロボの活用
水中写真において、ストロボ(フラッシュ)は単に「暗い場所を照らす」だけの道具ではなく、水中で失われた「色」を取り戻すための装置です。
1. なぜ写真が「青く」なってしまうのか?
水中では、光の波長のうち赤・オレンジ・黄色といった暖色系が急速に吸収されます。ストロボの強力な光は、この失われた赤色を物理的に補う「一次補正」として機能し、鮮やかな色彩を蘇らせてくれます。
2. 「ゴミの写り込み」を防ぐテクニック
ストロボを使う際、最も多い失敗が「バック散乱(浮遊物の反射)」です。 これを防ぐための鉄則は、**「レンズのすぐ前を照らさない(ダークゾーンを作る)」**ことです。アームを使ってストロボをカメラから離し、レンズと被写体の間に直接光が通らないようにセッティングしましょう。
3. 立体感を出すライティング
可能であれば、ストロボを2灯使い、片方を横から当てる「サイドライティング」を行うことで、被写体の影を強調し、質感(テクスチャ)を際立たせる効果があります。
構図とアングルの工夫
水中写真の構図の基本は、**「下から見上げる(ローアングル)」**です。これにより背景に自然光を取り込みやすくなり、被写体がくっきりと浮かび上がります。
1. 撮影技術 = 中性浮力と「トリム」
良い構図を作るために、プロは身体操作を徹底しています。
- 体験談(Experience):
「中性浮力は基本ですが、単に浮くだけでなく**『トリム(水平)』の姿勢でバランスを取ること**が最も重要です。 この姿勢だと体が安定して手ブレを防げるだけでなく、フィンで砂を巻き上げて写真を台無しにすることも防げます。」
2. 呼吸で気配を消す
被写体にストレスを与えないことも、良い表情を撮るコツです。
- 体験談(Experience):
「安定したトリム姿勢の上で、ゆっくり吸ってゆっくり吐く呼吸を意識します。バタバタと動かず、穏やかな呼吸でアプローチすることで、魚に警戒されずにより近くまで寄れるようになります。」

撮影が終わった後のケアも、撮影と同じくらい重要です。ここで手を抜くと、次回カメラが動かない悲劇に見舞われます。
ダイビングカメラのメンテナンス方法
ダイビングカメラの寿命は、潜っていない時間の扱い方で決まります。特に「塩」は機材の最大の敵であり、放置すればわずか数分で結晶化し、ハウジングを破壊し始めます。
使用後のケアと保管方法
ダイビング終了後、「真水に浸けて終わり」にしていませんか? 実は、塩分は隙間の奥深くに残っており、ただ浸けるだけでは完全に除去できません。
1. プロ直伝「動的洗浄」と「二度洗い」
塩噛み(ボタンが固着すること)を防ぐために有効なのが、水中で可動部を動かすテクニックです。
- 動的洗浄(Fact): 真水に浸けた状態で、全てのボタン、ノブ、レバーを数回操作します。これにより、隙間に残った塩分を物理的に洗い流すことができます。
- 体験談(Experience):
「私は『現地で洗ったからOK』とは考えず、**『二段階塩抜き』**を行っています。現地のショップで一度洗い、帰宅後にもう一度自宅で丁寧に塩抜きをする。ここまでやると安心感が全然違います。」
2. 「追いグリス」と保管場所の罠
洗浄後は完全に乾燥させますが、保管方法にも注意が必要です。
- 保管の鉄則(Experience):
「Oリングは紫外線と湿気で劣化するため、直射日光が当たらず湿気の少ない**『冷暗所』**を厳選して保管しています。」
- 長期保管(Fact): 長期間使わない場合は、Oリングを取り外して密閉袋に入れるか、ハウジング内に乾燥剤を入れて保管し、必ずバッテリーを抜くことが重要です。
故障を防ぐためのポイント
故障の原因のほとんどは、機材の欠陥ではなく、メンテナンス不足や不注意によるものです。
1. タオル選びが運命を分ける
意外な盲点となるのが、濡れた機材を拭く「タオル」です。
- 体験談(Experience):
「過去のヒヤリハットで多かったのが、タオルの毛くずです。普通のタオルで拭くと、細かな繊維がOリングに付着し、それが水没の原因になります。 私は毛くずが出ない**『セームタオル(スイムタオル)』**などを専用に用意しています。」
2. エントリー直前の「儀式」
どんなに準備しても、潜る直前の確認を怠れば全てが水の泡です。
- 体験談(Experience):
「エントリー前の慌ただしい中でも、**『隙間の目視確認(Oリングが均一に見えているか)』**だけは絶対に省きません。機材を信じすぎず、最後は自分の目で守る姿勢が、水没ゼロの実績に繋がっていると思います。」
3. グリスは「防水剤」ではない
前述の通り、シリコングリスを塗っても、防水性能は上がりません。 塗りすぎるとゴミや砂を吸着して水没のリスクを高めてしまうため、表面が「濡れたように光る程度」に薄く塗るのが正解です。

ここまでの内容は少し専門的すぎたかもしれません。ここで一度視点を戻し、「これからカメラを始めたい」という初心者に向けた選び方を整理します。
初心者向けダイビングカメラの選び方
「どのカメラを買えばいいか分からない」という悩みは、全ダイバー共通の通過儀礼です。特に初心者のうちは、予算と性能のバランスを見極めるのが難しいもの。
初めてのダイビングにおすすめのカメラ
最初のカメラ選びで失敗しないコツは、「自分が何を撮りたいか」を明確にすることです。以下の2機種は、プロも認める「間違いのない選択肢」です。
1. 小さな生物を撮りたいなら「TGシリーズ」
ウミウシやカクレクマノミなど、小さな生き物を鮮やかに撮りたいなら、OM SYSTEM Tough TG-7が最強の相棒になります。 このカメラは「顕微鏡モード」を持っており、肉眼では見えないような極小の世界を驚くほど鮮明に写し出せます。
- 体験談(Experience):
「以前TG-5を使っていましたが、ウミウシ(通称:ピカチュウ)などをマクロ撮影した時、すごく鮮やかで細かく綺麗に写って感動しました。小さな生き物をじっくり撮りたいなら、TGシリーズは進化し続けているのでおすすめです。」
2. 海全体の景色なら「GoPro」
逆に、雄大な地形や魚の群れを動画で残したいなら、**GoPro(Heroシリーズ)**が最適です。ボタン一つでプロ級のワイド映像が撮れ、操作もシンプルなのでダイビングスキルに自信がない時期でも扱いやすいのが魅力です。
※どちらの機種も、ダイビングで使う場合は**必ず専用のハウジング(防水ケース)**を追加で購入してください。
初心者が注意すべきポイント
水中撮影は楽しい反面、命に関わるリスクも潜んでいます。カメラに夢中になるあまり、重大なトラブルを招かないよう、以下の2点は必ず守ってください。
1. 「迷子」と「エア切れ」の恐怖
ファインダーや液晶画面を凝視していると、視野が極端に狭くなります(トンネル・ビジョン)。
- 体験談(Experience):
「撮影に夢中になり、自分のチームからはぐれそうになるダイバーを何度かフォローした経験があります。海中には他チームも多く、ふと顔を上げた時に自分のチームが分からなくなるのです。 実際、はぐれてしまって海中で大泣きしていたダイバーを目の当たりにしたこともあります。」
写真を撮る前に、まずは**「残圧計(エア)の確認」と「バディの位置確認」**をこまめに行う癖をつけてください。
2. 休憩時間の「開閉」は水没の罠
カメラの水没事故が最も起きやすいのは、実は「2本目の準備中」です。
- 体験談(Experience):
「一番多いのが、休憩中に画像チェックのために一度ハウジングから出し、**2本目の準備の際に閉め忘れる(半開き)**ケースです。」
水没を防ぐため、休憩中は極力ハウジングを開けない、もしくは開けた場合はエントリー前にOリングの再チェックを徹底しましょう。

初心者を脱却し、もう一歩ステップアップしたいなら、アクセサリーの導入が効果的です。
ダイビングカメラのアクセサリー
カメラとハウジングだけでも写真は撮れますが、そこに「あと一つ」加えるだけで、画質と快適性が劇的に向上するアイテムがあります。
必須アクセサリーの紹介
「青っぽい写真ばかりで綺麗じゃない…」そんな悩みを一発で解決するのが、水中における光の補給です。
1. 「ストロボ」までは要らない? まずは「ライト」を!
本格的なストロボは高価で操作も難しそう、と敬遠する方も多いでしょう。
- 体験談(Experience):
「ストロボを使うほどこだわってはいませんが、『ライト』を導入した瞬間に色がしっかり出て感動しました。『まだなくていいや』と思っていましたが、結局買うならもっと早く買えばよかったと後悔しました。」
まずは手軽なビデオライトから始めてみるのが、脱・初心者への近道です。
2. ダイバーの命綱「ランヤード」
カメラを落とさないためのストラップ(ランヤード)は、単なる紛失防止グッズではありません。
- 体験談(Experience):
「撮影しない時にパッと手を離せるのが大きいです。BC操作や耳抜きが必要な時、カメラが邪魔にならず両手が空くというのは、ダイビング中の余裕と安全に直結します。」
特に伸縮する「コイルランヤード」は、使用時だけ伸ばせて邪魔にならないためおすすめです。
便利な撮影グッズ
撮影に慣れてきたら、表現の幅を広げるための追加装備を検討してみましょう。
1. 劇的に視野を広げる「ワイドレンズ」
GoProやコンパクトカメラの画角をさらに広げたい場合、「ウェットワイドレンズ」が役立ちます。外付けの広角レンズを装着することで、視野が広がるだけでなく、**被写体にさらに近づける(近接フォーカス能力が向上する)**ようになり、よりクリアでシャープな写真が撮れます。
2. 光を操る「スヌート」と「カラーフィルター」
上級者向けには、ストロボの光をスポットライトのように絞る「スヌート」や、色温度を変える「カラーフィルター」があります。これらを使うことで、背景を真っ暗にするなどドラマチックな演出が可能になります。
3. 水没への最終防衛ライン「真空検知システム」
高価な機材を守るための投資として、「真空検知システム」も注目されています。ダイビング前にハウジング内の空気を抜いて密閉性をチェックできるため、「潜る前の水没リスク」をほぼゼロにすることができます。

準備万端でも、現場では思わぬトラブルが起こります。よくある事例と対策を知っておきましょう。
水中カメラのトラブルシューティング
水中は、カメラにとっても撮影者にとっても過酷な環境です。「あ!」と思った瞬間に全てが終わることも少なくありません。
よくあるトラブルとその対策
水中写真における最大の敵は、水没でもカメラの故障でもなく、実は「人為的な準備不足」です。
1. バッテリー管理の甘さは一生の不覚
最も悔しいトラブルの一つが、ここぞという時のバッテリー切れです。
- 体験談(Experience):
「海外のポイントで、めったに出ないウミガメが出現した際に、バッテリー切れで撮影できず非常に悔しい思いをしました。 また、ジンベエザメが出たのにカメラを持っていなくて撮れなかった、という悲劇もよく聞きます。」
対策はシンプルです。予備バッテリーを必ず持参し、低温環境下(水温が低いと電池の消耗が早い)では直前まで保温しておくことです。
2. 「曇り(結露)」のメカニズムを知る
撮影中にレンズが曇って真っ白になる現象は、湿度が高い場所でハウジングを閉じたことが原因です。 これを防ぐには、「エアコンの効いた乾燥した部屋」でセッティングを行い、シリカゲル(乾燥剤)を必ず入れることが鉄則です。
撮影中の注意点
撮影に夢中になると、ダイバーは周りが見えなくなりがちです。これが、思わぬ事故やトラブルを引き起こします。
1. 「砂巻き上げ」は重大なマナー違反
撮影に集中するあまり、フィン(足ひれ)で海底の砂を巻き上げてしまうことは、初心者によくある失敗です。
- 体験談(Experience):
「夢中になりすぎてサンゴに接触したり、砂を巻き上げたりすることがあります。特に砂の巻き上げは、最初のお客さんがやってしまうと、次のゲストが見えなくなったり写真が撮りにくくなったりしてしまいます。」
自分さえ撮れればいいのではなく、チーム全員が楽しむために**「中性浮力をきちんと取る」**ことは、良い写真を撮る以前の重要なマナーです。
2. 操作は「ノールック」を目指す
シャッターチャンスは一瞬です。設定変更にもたついていると、被写体はすぐに逃げてしまいます。 最終的な目標は、シャッタースピードやF値などの操作を**「いちいち見なくてもいじれるくらい(ノールック)」**まで指に覚え込ませることです。陸上で何度も操作練習をしておきましょう。

最後に、これからの水中撮影がどう変わっていくのか、最新のトレンドを見てみましょう。
ダイビングカメラの最新トレンド
水中撮影の世界も日進月歩で進化しています。「難しくて重い機材」という常識は過去のものとなり、今は「誰でも簡単に、プロのような映像を」という時代に突入しています。
最新技術と機能
カタログスペックの数値以上に、実際の使い勝手を変えたのは「ソフトウェア」の進化です。
1. 「青かぶり」からの解放
かつてダイバーを悩ませた「写真が青くなる問題」は、最新の**「水中モード」**によって過去のものになりつつあります。 AI技術を活用した色補正機能が、水中で失われた赤色をリアルタイムで復元してくれるため、難しい編集作業なしで鮮やかな映像が撮れるようになりました。
- 体験談(Experience):
「実際に使って感動したのは、水中モードの補正精度の向上です。『後編集(レタッチ)』の手間から解放され、撮って出しで鮮やかな映像が楽しめるようになりました。」
2. スマホ転送と「お任せモード」の進化
もう一つ、ダイバーの行動を変えたのが**「ワイヤレス転送機能」**です。SDカードを抜き差しせず、濡れた手のままでも撮影データをスマホに送れるため、ボートに上がってすぐにSNSへシェアするスタイルが定着しました。
今後の展望と市場動向
これからの水中カメラ市場は、機材の「小型化」と「没入感(イマーシブ)」へと向かっています。
1. アクションカメラとVRの台頭
現場の肌感覚として確実に増えているのが、GoProやInsta360などの小型アクションカメラを持つダイバーです。 特に360度カメラによるVR映像は、単なる記録を超え、陸上で「海の中を再体験(追体験)」できるツールとして、プロ・アマ問わず必須の機材になりつつあります。
2. 未来のカメラは「ハンズフリー」へ?
技術的な制約がなくなった未来、ダイビングカメラはどうなるのでしょうか?
- 未来予想図(Experience):
「究極の理想は、カメラを手で持つ必要がなくなり、マスクと一体化して視界そのものを記録できるシステムです。 ダイブコンピューターでシャッター操作ができたりと、撮影行為がダイビング(泳ぐこと)を一切邪魔しない『完全ハンズフリー』な未来が来ることでしょう。」

まとめ:ダイビングを楽しむためのカメラ選び
ここまで、様々なカメラや機材について解説してきました。最後に、あなたが自分だけの「最高の相棒」を見つけ、ダイビングライフをより一層楽しむためのヒントをお伝えします。
自分に合ったカメラを見つけるために
水中撮影において「最強のカメラ」とは、単に画質が良い機種のことではありません。
1. システム全体で考える
前述した通り、水中ではカメラ本体よりも**「信頼できるハウジング」と「光(ストロボ)」**が成功の鍵を握ります。ハウジングは高価な機材を水圧から守る「生命維持装置」であり、ストロボは失われた色を取り戻す唯一の手段だからです。
2. 「直感」を信じる
スペック比較も大切ですが、最終的にはあなたの感覚が全てです。
- 体験談(Experience):
「難しい理屈よりも、お店で手に持った時のフィット感や、シャッターを切った時の心地よさが重要です。『これだ!』という直感は意外と正しいので、自分の感覚を信じて選んでください。」
ダイビングの楽しさを倍増させるために
カメラを持つことは、単に写真を残すだけでなく、あなたのダイビングスタイルそのものを進化させます。
1. 「マンネリ」からの脱却
もし今、ダイビングに少し飽きを感じているなら、カメラは最高のスパイスになります。
- 体験談(Experience):
「実は以前、同じ場所でのダイビングに『中だるみ』を感じていた時期がありました。しかしカメラを持った瞬間、遊び方がガラッと変わり、一気に面白さが再燃しました。 カメラを持つことで、漫然と泳ぐだけでなく、生き物の『表情』や『目の中の光』まで観察するようになり、海の見え方が変わりました。」
2. 上手くなるために、撮る
「もっと上手くなってからカメラを始めよう」と思っていませんか? それは逆かもしれません。
- 体験談(Experience):
「『上手い人じゃないと持っちゃダメ』と遠慮していましたが、実際は逆でした。カメラを持つことで、手ブレしないように中性浮力やバランスを必死に意識するようになり、結果的にスキルアップの最高の練習台になりました。」
今のカメラは性能が良く、適当に撮っても綺麗に写ります。初心者こそ遠慮せず、早く始めることで、仲間との会話も増え、ダイビングの世界がもっと広がるはずです。
最高の相棒を見つけて、素晴らしい海の世界を切り取ってください!

Last modified: 4 Dec 2025