ダイビングをやってみたい人必見!初心者のための基本ガイド
「水中で呼吸ができたら、どんな気分だろう?」 「海の中を自由に飛び回ってみたい」
そんな憧れを抱きながらも、「泳げないから無理かも」「何から始めればいいかわからない」と二の足を踏んでいる方は多いのではないでしょうか。
実は、ダイビングは特別な運動神経がなくても、老若男女問わず楽しめる生涯スポーツです。私自身、かつては水が苦手でしたが、ダイビング器材の力で「水への憧れ」が爆発し、インストラクターになるほど魅了されました。
本記事では、元インストラクターの視点から、ダイビングの魅力や具体的な始め方、失敗しないショップ選びまでを網羅的に解説します。本栖湖で感じた「静寂のロマン」や、現場で見てきた「リアルな体験談」を交えながら、あなたの新しい冒険をサポートします。

ダイビングを始める前に知っておきたい基本情報
これからダイビングを始めようとしている方へ。 まずは、ダイビングという活動が持つ本質的な魅力と、具体的な種類について整理しておきましょう。
単に「海に潜る」というだけでなく、そこには科学的に裏付けられたリラックス効果や、ライセンス(Cカード)を取得することで初めて見えてくる「劇的な世界の変化」が存在します。
ダイビングの魅力とは?
ダイビングの魅力は、美しい魚を見るという視覚的な楽しみだけではありません。心と身体、そして人生観にまで影響を与える深いチカラがあります。
1. 科学が証明する「癒やし」と「没入感」
海の中にいると心が安らぐと感じたことはありませんか? これは単なる思い込みではありません。科学的にも**「Blue Mind(ブルーマインド)」**という理論があり、水辺や水中にいることで脳内化学物質が変化し、ストレス軽減やメンタルヘルスの向上が期待できるとされています。
また、重力から解放された水中では、活動への深い没入感や爽快感が得られる「フロー体験(最適経験)」を感じやすく、これがダイビングの楽しさの根源となっています。
2. 「浄化」の海と、「蓄積」の湖
フィールドによってもその魅力は異なります。一般的にダイビングといえば「海」を想像しますが、私のお気に入りである「本栖湖」のような湖には、海とは違った趣があります。
海が波によってすべてを洗い流し「浄化」する場所だとしたら、湖は歴史がそのままそこに留まり**「蓄積」されていく場所**です。
大昔の富士山の噴火で流れた溶岩が、そのままの形で水中に鎮座している。その景色に触れるとき、地球の歴史(ロマン)と一体化するような感覚を覚えます。水中で聞こえる自分の呼吸音と振動は、まるで母親の胎内にいるような本能的な安心感を与えてくれます。
3. 「静止画」から「動画」への進化
体験ダイビングと、ライセンス取得後のファンダイビングでは、見える景色が劇的に変わります。
- 体験ダイビング: インストラクターに掴まり、連れて行ってもらうツアー。着底して魚を眺める**「静止画」**のような体験。
- ライセンス取得後: 自分の器材を操作し、3次元空間を自在に泳ぎ回る**「動画」**のような体験。
「知識がないことによる恐怖」から解放され、自分で安全をコントロールできる「能動的な安心感」を手に入れたとき、水中は単なる観察の場から**「広大な遊び場」**へと進化します。

ダイビングの種類と特徴
「ダイビング」と一口に言っても、その目的や装備によっていくつかの種類に分かれます。ここでは初心者が知っておくべき主要なカテゴリーと、よくある誤解について解説します。
1. 主なダイビングスタイル
大きく分けて、以下の3つが代表的です。
- レクリエーショナル・ダイビング: 私たちが楽しむ一般的なダイビングです。通常は水深40mより浅い場所で、減圧停止を必要としない(いつでも水面へ浮上できる)範囲で行われます。
- テクニカル・ダイビング: レクリエーショナルの限界を超える深度や、洞窟など頭上が閉鎖された環境に挑む上級者向けのスタイルです。
- フリーダイビング/スキンダイビング: 呼吸装置を使わず、一呼吸で潜るスタイルです。身軽さと一体感が魅力です。
2. Cカードは「免許」ではなく「パスポート」
よく「ダイビング免許」と呼ばれますが、法的な免許証ではありません。正しくは民間団体が発行する**「認定証(Certification Card=Cカード)」**です。
しかし、世界中の海でタンクを借りたりツアーに参加したりするには、このカードの提示が事実上必須となります。一度取得すれば(プロレベルを除き)更新の必要はなく、一生使えるパスポートのような役割を果たします。
3. 「体験ダイビング」と「認定ダイバー」の決定的な違い
これから始める人が混同しやすいのがこの2つです。
| 特徴 | 体験ダイビング | 認定ダイバー(ライセンス保持者) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 連れて行ってもらうツアー | 自ら切り拓く冒険 |
| 活動深度 | 最大12m(インストラクターの直接管理下) | 最大18m以上(ランクによる) |
| 自由度 | 受動的:プロに委ねる | 能動的:バディと共に自律して潜る |
認定ダイバー(Autonomous Diver)になると、インストラクターに頼りきりではなく、バディ(パートナー)と協力して自分たちで計画を立てて潜れるようになります。
ショップを訪れた際、「お客様」として手取り足取り世話をされるのではなく、「じゃあセッティングお願いします」とタンクを渡され、一人前のダイバーとして信頼される瞬間。この自立心こそが、ライセンスを取得する大きな意義と言えるでしょう。

ダイビングの全体像が見えてきたところで、次は実際の「最初の一歩」となる体験ダイビングの現場について見ていきましょう。
体験ダイビングの流れと準備
「初めて水中に潜る」という体験は、誰にとっても未知の領域です。 ここでは、体験ダイビングがどのような流れで進むのか、そして当日を最大限楽しむために何が必要なのかを、具体的なエピソードを交えて解説します。
体験ダイビングの一般的な流れ
体験ダイビングは、国際規格(ISO 11121)に基づき、安全を最優先に設計されたプログラムです。 いきなり海に放り込まれるようなことはありませんので安心してください。
1. 説明とブリーフィング
まずは陸上で、インストラクターから基本的なレクチャーを受けます。 学ぶのは主に以下の3点です。
- 呼吸のルール: 水中で絶対に息を止めないこと。
- 耳抜き(圧平衡): 水圧に合わせて耳の圧力を調整する方法。
- ハンドシグナル: 水中での「OK」「異常あり」などの合図。
2. 浅場での練習(限定水域)
海に入る前に、足のつく浅瀬やプールで呼吸やマスククリア(マスクに入った水を抜く技術)の練習を行います。ここで不安を取り除いてから、実際のダイビングへ進みます。
3. いざ水中へ(海洋実習)
インストラクターに誘導され、ゆっくりと水中世界へ入っていきます。 実はこの**「潜降(沈んでいく瞬間)」**こそが、多くの初心者が最もドキドキする場面です。
体験談:初めての潜降と不安 私自身、初めて水中に顔をつけて呼吸した時は、不思議な感覚とともに少し息苦しさも感じました。肉体的には問題ないはずなのに、深度が増すにつれて本能的な不安が押し寄せてきたのを覚えています。 また、一緒に潜った方がパニックになりかけ、ガイドに浮上を抑えられている場面を目撃してドキッとしたこともありました。
しかし、こうした不安は自然な反応です。だからこそ、プロのインストラクターが常に手の届く範囲で直接管理(Direct Supervision)し、何かあればすぐに支えてくれる体制が整えられています。 怖くなったら無理をせず、ハンドシグナルで伝えれば大丈夫です。

必要な持ち物と事前準備
ダイビングは準備が8割と言っても過言ではありません。 当日の快適さを左右する持ち物と、意外と見落としがちな体調管理について確認しましょう。
1. これだけは忘れずに!基本の持ち物
器材はすべてレンタルできるため、基本的に「水着・タオル・サンダル」があれば参加可能です。
- 水着: 現地で慌てないよう、あらかじめ服の下に着て集合するのが鉄則です。
- 日焼け止め・酔い止め: ボートに乗る場合は、乗船の30分〜1時間前に酔い止めを飲んでおくと安心です。
- ヘアゴム: 髪が長い方は、マスクに髪が挟まらないよう束ねるゴムがあると便利です。
2. 絶対にやってはいけない「事前のNG行動」
安全に関わる重要なポイントが2つあります。
- 前日の深酒・寝不足は厳禁: 二日酔いや寝不足は脱水を招き、減圧症のリスクを高めます。
- フライトスケジュールの確認: ダイビング終了後、最低12〜18時間は飛行機に乗れません。旅行の最終日(帰宅日)にダイビングを入れることはできないので注意してください。
ダイビング後の飛行機搭乗について詳しく知りたい方は、ダイビング後に飛行機搭乗は危険?知っておくべき理由の記事をご覧ください。
3. 経験者が語る「トイレ」の重要性
地味ですが、最も切実なアドバイスがあります。それは**「直前のトイレ」**です。
体験談:トイレ問題 事前にトイレを済ませておいて本当によかったと心から思いました。 ウェットスーツは一度着ると簡単には脱げませんし、水に入ると水圧でトイレが近くなる生理現象が起こります。
些細なことに思えるかもしれませんが、尿意を我慢しながらではせっかくの絶景も楽しめません。説明が始まる前、ウェットスーツを着る前に、必ずトイレに行っておくことを強くおすすめします。
4. メディカルチェックの真実
申し込み時に記入する「病歴診断書」は形式的なものではありません。 特に「鼻づまり(耳鼻科系)」や「呼吸器系」の項目に該当する場合、医師の診断書がないと参加を断られることがあります。現地に行ってから「潜れない!」とならないよう、不安がある場合は事前にショップへ相談しましょう。

準備が整い、海に入る直前になったら、次は「心の準備」です。安全に楽しむためのマインドセットを整えましょう。
ダイビングを楽しむための心構え
ダイビングは冒険ですが、無茶をすることではありません。 心から楽しむためには、「安全」という土台と、水中で気持ちを伝え合う「コミュニケーション」の2つが不可欠です。
ここでは、プロとして多くの初心者を見てきた経験から、教科書には載っていない実践的なコツをお伝えします。
初心者が知っておくべき安全対策
ダイビングの安全対策で最も重要なのは、「自分のことは自分で守る」という意識です。 インストラクターに依存しすぎず、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 入水前の儀式「バディチェック」
潜る直前には、必ずバディ(相棒)とお互いの器材をチェックし合います。これを「バディチェック」と呼び、世界的な合言葉「BWRAF(ビーダブリューラフ)」で覚えておきましょう。
それぞれ英単語の頭文字で、以下の順番になっています。
- B:BCD(浮力調整具)……しっかり膨らんだり、しぼんだり動作するか確認。
- W:Weights(ウエイト)……重りが正しく取り付けられていて、外し方(リリース)も確認。
- R:Releases(留め具)……BCやタンクのベルト、バックルなど、外す場所・締める場所をお互い確認。
- A:Air(空気)……タンクのバルブが開いているか、予備のレギュレーター(オクトパス)からも呼吸できるかチェック。
- F:Final OK(最終確認)……マスク・フィンなど最後に忘れ物や違和感がないか全体を確認。
この手順を声に出して1つずつ確認し合うことで、「今日、私の命を預けますよ」という信頼関係が生まれます。点検というだけでなく、安全のための大切な儀式です。
2. 水中での鉄則「呼吸を止めない」
水中で絶対にやってはいけないこと、それは「息を止めること」です。 息を止めて浮上すると、肺の空気が膨張して肺を傷つける「肺の過膨張障害」を引き起こす危険があります。常にゆっくりと呼吸を続けましょう。
3. もし「怖い」と感じたら?(パニック回避マニュアル)
水中でふと不安になったり、息苦しさを感じたりすることは誰にでもあります。そんな時、パニックにならず冷静さを取り戻すための「魔法のルーティン」があります。
体験談:肺のモヤモヤを吐き出す もし怖くなったら、まずは全ての活動をストップしてください。
- 掴まる場所があれば掴まり、着底して膝立ちになります。
- レギュレーターやマスクなど、自分の装備に手を当てて「自分を守ってくれる機材がある」ことを確認し、安心感を得ます。
- そして、呼吸だけに集中します。ポイントは**「吸うこと」より「吐くこと」**。
ほとんどの場合、苦しいのは酸素が足りないのではなく、二酸化炭素がはけていないからです。肺の中に溜まった不安や二酸化炭素という「モヤモヤ」を、すべて吐き切るイメージを持ってください。しっかり吐き切れば、体は自然と新鮮な空気を吸い込んでくれます。呼吸が整うまで動かず、落ち着いてからゆっくり再開すれば大丈夫です。
この「止まって、吐く」という動作だけで、多くのトラブルは未然に防げます。

ダイビング中のコミュニケーション方法
水中では言葉が話せません。だからこそ、相手の目を見たり、身振り手振りで伝え合うコミュニケーションが重要になります。
1. 基本は「ハンドシグナル」
「OK」「異常あり」「残圧(空気)が残り少ない」など、世界共通の手信号を使います。 これらは潜る前のブリーフィング(事前打ち合わせ)で必ず確認します。
2. ハンドシグナルを超えた「心の会話」
実は、正規のサイン以外でも、感情は驚くほど伝わります。
例えば、私がバディと潜っていた時、水中で「北斗の拳」の名シーン(ラオウの昇天)を真似て遊んだことがありました。 水中で笑うとマスクに水が入ってくるのですが、相手がボコボコと泡を吐きながら必死にマスクを押さえている姿を見ると、「あ、今めちゃくちゃウケてるな」と痛いほど伝わってきます。 また、凄い魚を見つけた時の「うぉー!」というくぐもった叫び声だけで、感動は共有できるものです。
3. 笑える誤解もまた一興
もちろん、言葉がない分、誤解も生まれます。
体験談:飲み会の誘い? セブ島で芸人の方に講習をした際、生徒さんが「海水を飲んでしまった」と飲むジェスチャーをしてくれたのですが、私はそれを「今夜一杯飲みに行きましょう」という誘いだと勘違いしてしまったことがあります。
こんな笑い話も含めて、不自由さを楽しむのがダイビングの醍醐味です。 最近では「体調が悪い」ことを示す新しいサイン(頭と胴体を含む円を描く動作)も普及してきています。楽しみのサインだけでなく、不調を伝えるサインもしっかり覚えておきましょう。

安全意識が高まったところで、次は「誰と潜るか」が重要になります。信頼できるパートナー、つまりダイビングショップの選び方について解説します。
ダイビングショップの選び方
ショップ選びは、単にお店を決めることではありません。「命を預けるパートナー」を決める重要なプロセスです。 後悔しないために、そして安全に楽しむために、プロの視点から「本当に見るべきポイント」をお伝えします。
信頼できるショップの見極め方
きれいなホームページや「格安料金」の広告だけでは、ショップの本質は見えません。 元インストラクターとして、私が必ずチェックする「信頼の証」はここにあります。
1. 「常連客」はショップの鏡
現地に行ったら、まずはそこにいる**「常連客の振る舞い」**を観察してください。 彼らはそのショップが長年積み上げてきた「安全文化」を映す鏡だからです。
- 良い兆候: 常連客がガイドなしでも自主的に安全確認を行っている。
- 警戒サイン: 慣れからくる「悪ふざけ(過度な悪ノリ)」が許容されている。
「楽しそうなショップ」と「安全なショップ」は違います。悪ノリが放置されている環境は、いざという時に頼りになりません。
2. 「No」と言える環境があるか
私が通っていたショップで体調不良や不安を感じた時の話です。「今日はやめておきます」と伝えたところ、**「ナイスジャッジ(勇気ある決断だね)!」**と肯定してくれました。 これは私の中で大きな信頼につながりました。 もし、スケジュールが狂うことを迷惑がったり、無理に潜らせようとする空気があるショップだったら、そこにはもう行かなかったでしょう。
3. 料金と制度の透明性
- 総額表示の確認: 「ライセンス1万円!」といった格安広告には注意が必要です。申請料、教材費、レンタル代などを含めた「総額(トータルコスト)」が明確か確認しましょう。
- 安全認証: 指導団体の「正規加盟店」であるか、また沖縄県なら「マル優(安全対策優良店)」などの第三者認証を受けているかは、客観的な信頼の指標になります。

ショップのサービスや設備をチェック
スペック表には載っていないけれど、当日の「快適さ」と「安全性」に直結するチェックポイントがあります。
1. サイズの合った器材があるか
「レンタルだから我慢」は禁物です。特に小柄な女性や子供の場合、ブカブカのウェットスーツやマウスピースは、水没や寒さの原因となり、パニックに直結します。 子供用器材や幅広いサイズ展開があるショップは、それだけで安全への配慮が高いと言えます。
2. 酸素キットの配備
万が一、減圧症の兆候が出た際、現場ですぐに**「純酸素」**を吸入できる体制(DAN酸素キットなど)があるかを確認しましょう。 これはISO規格でも求められる重要な設備ですが、すべてのショップが常備しているわけではありません。命に関わる設備にコストをかけているかどうかが、そのショップの姿勢を物語ります。

信頼できるショップを見つけたら、いよいよ目的地選びです。国内・海外のおすすめスポットをご紹介します。
おすすめのダイビングスポット
ライセンスを取得し、器材やスキルが整ったら、次は「どこで潜るか」です。 日本国内には世界に誇る海があり、海外には想像を超えるスケールの冒険が待っています。ここでは、数あるスポットの中から特におすすめのエリアを紹介します。
国内の人気ダイビングスポット
日本は南北に長く、流氷ダイビングから熱帯のサンゴ礁まで、多種多様な海を持つダイビング天国です。
1. 沖縄・慶良間諸島(座間味島)
世界でも有数の透明度を誇り、その青さは**「ケラマブルー」**と称されます。 中でも私が特におすすめしたいのが「座間味島」です。
体験談:ウミガメに癒やされる島 座間味はとにかく透明度が高く、ウミガメとの遭遇率が非常に高いのが魅力です。水中で優雅に泳ぐカメの姿には、本当に癒やされます。 また、ダイバーとして島に滞在する醍醐味は夜にもあります。運が良ければ、夜のビーチでウミガメの産卵に出くわす自然のドラマに立ち会えることもあります。
2. 小笠原諸島(東京都)
「東洋のガラパゴス」とも呼ばれる世界自然遺産です。 独自の進化を遂げた生態系と、**「ボニンブルー」**と呼ばれる濃紺の海が特徴です。アクセスは片道24時間の船旅に限られますが、ザトウクジラやシロワニ(サメ)など、圧倒的な大物に出会える聖地です。
3. 伊豆半島(静岡県)
関東からのアクセスが良く、ダイビングの練習に最適なエリアです。 海にも四季があり、秋には南方から流れてくるカラフルな季節来遊魚が見られ、冬には透明度が上がり深海魚が現れるなど、年間を通して変化を楽しめます。

海外のおすすめダイビングエリア
海外の海は、スケールや生物の密度が桁違いです。 「大物(サメ・マンタ)」「マクロ(小さな生物)」「地形」など、目的に合わせてエリアを選びましょう。
1. フィリピン(マラパスクア)
フィリピンは「コーラル・トライアングル」の一部であり、非常に豊かな生態系を持ちます。 ステップアップしたダイバーにぜひ挑戦してほしいのが、マラパスクア島です。
体験談:最強にかっこいいサメを求めて 私が海外で度肝を抜かれたのは、マラパスクアで見た**「ニタリザメ(Thresher Shark)」**です。 非常に長い尾びれを持つそのシルエットは、最強にかっこいいの一言につきます。早朝のエントリーや強い流れなど、環境は少しハードですが、それを乗り越えて見る価値のある圧巻の光景です。
2. インドネシア(ラジャ・アンパット)
世界で最も海洋生物の多様性が高い場所とされ、1回のダイビングで374種の魚類が記録されたこともある「奇跡の海」です。色とりどりのサンゴと魚の群れに囲まれる体験は、まさに竜宮城です。
3. メキシコ(セノーテ・ソコロ)
カリブ海側の「セノーテ」では、透明度抜群の地底湖を探検できます。 一方、太平洋側の「ソコロ諸島」は、マンタやクジラが集まる大物天国ですが、潮流が速く上級者向けのスキルが求められます。
注意:「南国=暖かい」とは限らない
海外ダイビングの注意点として、必ずしも「南国=常夏」ではないことを覚えておきましょう。 例えば赤道直下の「ガラパゴス諸島」は、寒流の影響で水温が低く、厚手のウェットスーツやドライスーツが必要になる場合があります。憧れのエリアに行く際は、現地のシーズンと水温をしっかり確認しましょう。

ダイビングを始めるにあたり、まだ少し不安が残る方もいるかもしれません。ここからは、よくある質問にお答えします。
体験ダイビングに関するよくある質問
初めてのダイビングには、不安や疑問がつきものです。 ここでは、特に質問が多い「泳ぎ」と「年齢・健康」について、プロの視点と私自身の経験からお答えします。
泳ぎが苦手でも大丈夫?
結論から言うと、体験ダイビングにおいては「泳げなくても大丈夫」です。 ただし、これには「器材のスーパーパワー」という明確な理由があります。
1. 水泳とダイビングは別物
水泳は「手足を激しく動かして息継ぎをする」スポーツですが、ダイビングは全く違います。
- 推進力: 足につけたフィン(足ひれ)をゆっくり動かすだけ。手は使いません。
- 浮力: BCD(浮力調整具)でコントロールするため、力を抜いていても勝手に浮いていられます。
- 呼吸: レギュレーターを咥えているので、息継ぎのために顔を上げる必要がありません。
2. 「苦手な人ほどハマる」という逆転現象
実は、私自身も元々は水が苦手でした。 しかし、水が苦手な人ほど、「器材のおかげで快適に呼吸し、泳げる」というギャップに感動し、心の奥底にあった「水への憧れ」が爆発してドハマリすることがあります。 泳げる人は「水慣れ」のアドバンテージがありますが、泳げないことこそが、ダイビングの魔法を最大に感じるスパイスになるかもしれません。
「ライセンス取得」も泳力がなくて問題ない
体験ダイビングは問題ありませんが、もしライセンス(Cカード)を取得する場合は、「200mの水泳」などの条件をクリアする必要があります。 ですが”シュノーケル・マクス・フィンをつけて300mを泳ぐか、なにもつけずに200メートルを泳ぐ”といった具合で機材もあるし時間制限もないので、水泳ができなくてもまず問題ありません。

年齢制限や健康面の注意点
「もう若くないから…」と諦める必要はありません。ダイビングは、健康であれば何歳からでも、何歳まででも楽しめる生涯スポーツです。
1. 何歳までできる?(シニアの楽しみ方)
体験ダイビングは通常10歳から参加可能です。上限はありません。 私がガイドした中には、80歳近い現役ダイバーさんもいらっしゃいました。シニアの方は自己管理が徹底しており、精神的にも落ち着いていて、若者以上に安定したダイビングを楽しまれることも多いです。
年齢制限や家族でのダイビングについて詳しく知りたい方は、ダイビングの年齢制限を徹底解説!家族で楽しむための注意点の記事をご覧ください。
セブ島ではメジャーなスタイルがあります。 重い器材の着脱をすべてスタッフに任せる**「殿様(姫様)ダイビング」**というスタイルです。 腰や膝に不安がある場合もこのスタイルなら身体への負担を最小限に抑えられます。
2. 「たかが鼻づまり」が命取り
健康面で絶対に甘く見てはいけないのが、**「鼻づまり(風邪・花粉症)」**です。 ダイビング中のトラブルの8割は耳鼻科領域と言われています。鼻が詰まっていると「耳抜き」ができず、水圧による激痛で潜水を断念せざるを得なくなります。 「熱はないから大丈夫」と思わず、鼻の調子が悪い時は勇気を持って中止しましょう。
3. インストラクターの「世間話」の真実
朝、インストラクターが「昨日はよく眠れましたか?」と世間話をすることがありますが、あれは単なる雑談ではありません。 顔色、反応速度、息遣いなどを観察し、「寝不足や二日酔いはないか」を確認する実質的な健康診断を行っています。 先述の通り、寝不足や二日酔いは脱水や判断力低下を招き、重大なリスクを高めます。不調がある場合は隠さず正直に伝えましょう。

体験ダイビングを終えて「もっとやりたい!」と思ったら、いよいよダイバーへの道へ進みましょう。
ダイビングを始めるためのステップ
体験ダイビングで「もっと自由に潜りたい!」と感じたら、次はライセンス取得への一歩です。 ここでは、ライセンス取得の具体的な流れと、ペーパーダイバーにならずに長く楽しむための秘訣を紹介します。
ライセンス取得の流れ
一般的に「ライセンス」と呼ばれるのは、指導団体が発行する**「Cカード(認定証)」**のことです。 最もポピュラーな初級ランク「オープン・ウォーター・ダイバー(OWD)」を取得するためのステップを見ていきましょう。
ライセンスの種類やランクについて詳しく知りたい方は、ダイビングライセンスの種類とランクを徹底解説やダイビングライセンスの種類を徹底解説!Cカードの違いと特徴の記事もご覧ください。
1. 学科講習(知識開発)
まずは、圧力や浮力、減圧症などの理論を学びます。 「難しそう」と不安になる方も多いですが、時間をかければ必ず合格できる内容なので心配はいりません。最近はeラーニング(オンライン学習)で自宅で進められるショップも増えています。
減圧症(デコ)について詳しく知りたい方は、ダイビングにおけるデコ(DECO)の基礎知識と対処法の記事をご覧ください。
2. 限定水域講習(プール/浅場)
足のつく場所で、器材の使い方や基本スキルを練習します。 ここで多くの人がつまずくのが**「マスククリア(マスクに入った水を抜く)」です。 やる前は「怖い」と感じるかもしれませんが、やってしまえば案外あっさりできるものです。むしろ、水中でバランスをとる「中性浮力」**の方が習得に時間がかかる方が多いです。 これも基礎ができればクリアできるので、ダイバーになってからじっくりスキルを磨けばOKです。
中性浮力や上達のコツについて詳しく知りたい方は、【完全保存版】ダイビング上達の教科書|基本から上級スキル、陸上でできる練習法まで徹底解説の記事をご覧ください。
3. 海洋実習(実際の海)
いよいよ海へ!学んだスキルを実践します。 最低4回のダイビングを行い、インストラクターが「合格」と判断すれば、晴れて認定ダイバーの仲間入りです。

ダイビングを続けるためのポイント
ライセンスを取ったものの、そのまま潜らなくなってしまう「ペーパーダイバー」が多いのも事実です。 せっかく開いた冒険の扉を閉ざさないために、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 「AOW」まで一気に進むのが正解
ライセンス講習の前に、ダイビングツアーの予約を入れてしまうのは全然アリだと思います。(私の受け持った講習生にも結構いました) 他にもOWD(初級)取得後、間を空けずに**「アドバンスド・オープン・ウォーター(AOW)」**まで進んでしまうのがおすすめです。 AOWに進むと、水深30mまで潜れるようになったり、中性浮力を専門的に学べたりと、遊びの幅が一気に広がります。ここまで来て初めて「本当のダイビングの楽しさ」が見えてきます。
ライセンス取得費用について詳しく知りたい方は、ダイビングライセンス取得費用の全貌と相場を徹底解説!の記事をご覧ください。
2. 最初に買うべき器材は「マイマスク」
「いきなりフルセットを買うべき?」と迷うかもしれませんが、もちろんフルセットを揃えるのが一番おすすめです。 予算が組めない方へのアドバイスとして、万人に勧める最初のアイテムは**「マスク」**です。
- 理由1:ストレス激減 レンタル品は顔に合わず水が入ってくることがありますが、自分に合ったマスクなら水が入るストレス(=パニックの恐怖)から解放されます。
- 理由2:安全への投資 「水が入らない」ことは、快適さだけでなく安全性に直結します。
次に買うならフィンやレギュレーターもおすすめです。BCDなどの重器材は、レンタルで色々なタイプを試してからでも遅くありませんが、「かっこいいから買う!」というモチベーションも立派な継続の理由になります。
3. 「ブランク」を作らない
ダイビングは「慣れ」のスポーツです。半年以上空くとスキルを忘れて不安になります。 理想は月に1回、少なくとも数ヶ月に1回は潜るペースを作りましょう。もし期間が空いてしまった場合は、無理せず「リフレッシュコース」を活用してください。

まとめ:新しい世界へのパスポートを手にしよう
ダイビングは、単なるレジャーではありません。それは地球の7割を占める「海」という未知の世界へのアクセス権を手に入れることです。
最初は誰でも不安です。しかし、信頼できるショップを見つけ、正しい知識と安全意識を持てば、水中は最高の「遊び場」に変わります。本栖湖で感じた静寂も、マラパスクアで見たサメの衝撃も、潜らなければ決して出会えなかった感動です。
まずは体験ダイビングから、その一歩を踏み出してみませんか? きっと、陸上では味わえない「自由」と「ロマン」が、あなたを待っています。
Last modified: 2 Jan 2026